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2020.05.11

【ニュースリリース】在住外国人への新型コロナウイルス情報伝達状況調査結果(第2弾)

(2020.5.12 「コロナウイルス」を「新型コロナウイルス」に一部表記を変更しました)

 

在住外国人244名への新型コロナウイルス情報伝達状況調査結果【第2弾】
~ 在住外国人の「医療・健康」「政府の対応」への不安・心配 ~

 

「外国人と日本人をつなぐ」をテーマに多文化共生事業を展開するひらがなネット株式会社(代表取締役:戸嶋浩子)は、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑み、在住外国人を対象に緊急アンケートを実施しました。新型コロナウイルスに関する情報伝達についての実態を把握することで、外国人住民に対しての情報発信について、今一度検討の機会を設けることを目的としています。
 4月28日の第1弾「新型コロナウイルス関連情報の認知状況」に続いて、本リリースでは「情報収集言語」「情報収集メディア」「その他の不安・心配」の結果についてお知らせします。
 

■調査概要■
○調査対象:日本在住の外国人
○調査期間:2020年4月17日から4月23日まで
○調査方法:Webアンケート調査(英語とやさしい日本語による)
○有効回答数:244件(内、英語回答194件、やさしい日本語回答50件)
※ 本アンケートは回答者から多くの関心・支持を得て、英語話者のコミュニティ等で拡散されました。
そのため実際の在住外国人の属性分布と異なり、英語圏出身の回答者が多くなっております。
 

■調査結果■
4.コロナウイルスについてのお知らせは、どの言語だとわかりますか。〔複数回答〕
理解ができる情報発信言語について、下記の通り、実際の文例を付記した選択肢で質問しました。わかる言葉すべてにチェックを入れてもらいました。
 

◇ 日本語 – 不要不急の外出を控えてください。
◇ やさしい日本語 – できるだけ 家(いえ)に いてください。買い物(かいもの)や病院(びょういん)は、大丈夫(だいじょうぶ)です。
◇ 英語 (English) – Please refrain from going out when it is not necessary.
◇ やさしい英語 (easy English) – Stay home.
◇ 全部(ぜんぶ) わかりません。

 

調査は、やさしい日本語(回答数50)と英語(回答数194)で行いました。
やさしい日本語によるアンケートに回答した人の9割以上(94.0%)が、ふりがなのついた「やさしい日本語」を支持しました。「日本語」は86.0%と「やさしい日本語」に比較して8ポイント低い結果となりました。
一方で、「英語」がわかると回答した人は66.0%に留まりました。「やさしい英語」の方が「英語」よりも4ポイント高い、70.0%の支持を集めました。
英語によるアンケートに回答した人の9割以上(93.8%)が、「英語」を選択しました。また、「やさしい英語」はその情報量の少なさからか、選択した人は12.9%に留まりました。一方で、「日本語」は20.1%、「やさしい日本語」は17.0%という結果でした。
やさしい日本語と英語のアンケートの回答者で、理解できる言語が分かれる結果となりました。英語以外の多言語翻訳が難しい場合においても、英語と日本語だけでなく、やさしい日本語で情報発信をすることで、より多くの外国人に情報を届けることができると考えられます。


 
 

5.コロナウイルスについて、どのメディアを見ていますか。見ているものをすべて選んでください。[複数回答]
やさしい日本語によるアンケートでは、「日本のテレビ」(88.0%)、「日本語ニュースサイト」(70.0%)、「母国語ニュースサイト」(66.0%)の3つについて、回答者の半数以上が参照していると答えました。
英語によるアンケートでは、「英語ニュースサイト」(88.1%)、「Facebook」(66.5%)が半数以上の回答を集めました。
役所・政府のウェブサイトを参照していると答えた回答者は、全体で36.5%に留まりました。また役所が最新情報の発信に活用している「Twitter」(全体で21.7%)も「Facebook」(全体で61.1%)に比べると利用度は低い結果となりました。
以上の結果から、日本語の習熟度によって参照するメディアが大きく異なることがわかりました。特に英語話者は、「日本のテレビ」や、「役所・政府のHP」「日本語ニュースサイト」などの情報を参照していないため、日本語話者に比べて、公的な情報が届きづらい状況にあると考えられます。


 
 

6.コロナウイルスについて、何が心配ですか。[フリー回答]
コロナウイルスについての不安についてフリー回答を募ったところ、170件の回答が寄せられました。それをトピック別に分類したところ、下記の結果となりました。(複数トピックについての回答は、複数の項目で重複カウントとしています)


 

本項では、一部回答結果を掲載します。全回答については、外国人の情報発信に携わる公的機関(自治体・官公庁等)へ無償提供いたします。詳しくは本資料の最後をご覧ください。
 

■医療・健康(41件)
全体を通して、「医療・健康」についての回答を寄せる方が最も多い結果となりました。「医療・健康」の項目では、特に、自分が感染した場合の対応や、検査体制の不安についての回答が多く挙がりました。
 

〔回答結果一部〕
○医療全般に関するもの(25件)
・赤ちゃんが病気になったら、診療所に行くのが怖いです。(40代女性・中国・3~5年)
・私か私のパートナーが病気になった場合、どうやって病院に行けばいいか、どうやって検査を受ければいいかわかりません。すごく心配しています。(30代女性・南アフリカ・3~5年)
・明らかにコロナウイルスの症状があるにもかかわらず、検査を受けるのに苦労したり、病院に拒否されたりする人の話をよく聞きます。もし私が病気になったら、日本語が流暢ではないので、必要な助けを得られないのではないかと本当に心配です。(30代女性・ポーランド・3~5年)
・近所のどこで検査が受けられるのかわかりません。(30代女性・アメリカ・1年未満)
・一人暮らしでコロナウイルスにかかった場合、どのように助けを求めればいいかわかりません。(30代男性・オーストラリア・1年未満)
 

○検査体制に関するもの(16件)
・検査数の少なさ。私が病気になったら、日本の病院は治療をしてくれず、死んでしまうと思います。(20代女性・アメリカ・6~10年)
・なぜ検査を受けるのがこんなにも難しいのでしょうか?(50代男性・アメリカ・10年以上)
 

■子育て・教育(8件)
自分が感染した場合の対応や、子供の教育への不安を挙げる声が聞かれました。
 

〔回答結果一部〕
・とても心配しています。特に子どもは毎日家にいて学校に行けず、友達と交流が少なくなって、成長に影響がないか心配です。(30代女性・中国・6~10年)
・両親がコロナウイルスにかかったら、誰が子どもの面倒を見るのでしょうか。家族のサポートが受けられない両親もいます。(30代女性・インド・6~10年)
 
■情報発信(14件)
外国人住民への情報の不足について指摘する回答が挙がりました。英語、やさしい日本語、母語での情報発信を求める声もありました。
 

〔回答結果一部〕
・もし自分が感染したら、どこまで面倒を見てくれるか。日本に住んでいる私たち外国人に、もっとやさしい日本語の情報がほしいです。どこのホームページを見れば全部の情報がまとめて書いてあるとか、感染だと疑われたときにはまずどこに相談するとか、できれば母語で相談ができるサービス等の情報がほしいです。仕事ができなく生活に困っている外国人はどこに相談できるかの情報もほしいです。自分が感染してしまった場合日本でのこれからの生活がどうなるかは一番心配です。(30代女性・ミャンマー・10年以上)
・公表されている情報が、私にはどれも理解できません。(40代女性・アメリカ・1年未満)
・外国人住民に対して、明確な指示やコミュニケーションの方法がないように感じています。郵送でも、メールでも、SMSでも、LINEでもいいので…。(30代男性・セルビア・1~2年)
・区から正確な情報を把握することは難しいです。区報や区のお知らせは日本語です。もし感染した場合、何をどうすればいいかわからなくて怖いです。(20代・無回答・1年未満)
 

■経済(23件)
仕事や家賃、生活費の支払いなど、家計について心配する声が寄せられました。母国に帰れないことなど、外国人特有の不安についても複数の回答がありました。
 

〔回答結果一部〕
・仕事ができず、そろそろお金もなくなりそうで心配です。(30代女性・ネパール・10年以上)
・私の会社からすぐに解雇はしないが、契約を延長することはないと言われました。新しい仕事を見つけられるか、経済的に生きていくことができるか心配です。家族からの援助もないので、自力で家賃を払わなければいけません。国境が閉鎖されているので母国にも帰れません。家具やアパートを日本に置いていくこともできません。(40代女性・ヨーロッパ・3~5年)
・治療を受けた場合に、治療費を払えるかどうか心配です。また、経済的支援が受けられるかも気になっています。(40代男性・アメリカ・10年以上)
・問題が長期化して今務めている会社が影響を受けた場合、無職になるのではないかと心配しています。早く収束することを祈っています。(30代女性・フィリピン・3~5年)
・不安の100%が経済に関するものです。もし私が仕事を失って収入がなくなったら、どうすればいいのでしょうか? 飛行機も飛んでいないから母国にも帰れません。不安とストレスでいっぱいです。(20代女性・オーストラリア・1~2年)
 

■政府の対応(39件)
政府の対応についての不安や懸念が、多く挙げられました。特に都市封鎖を実施している欧米諸国の回答者からは、より強硬な感染防止策を求める回答が目立ちました。
 

〔回答結果一部〕
・ロックダウンをすべきです。危機意識や、メディアの報道が十分ではありません。(50代女性・イギリス・10年以上)
・日本が十分な措置を講じているとは思えません。(50代女性・イタリア・10年以上)
・政府は、感染ピークを緩めるために、緊急事態宣言の内容をもっと厳しいものにすべきだと感じます。(40代女性・フィリピン・3~5年)
・政府の政策が信頼できません。(40代男性・インド・3~5年)
・日本の政府の姿勢には厳しさが足りません。オーストラリアやニュージーランドの姿勢から学んでほしいです。問題には終わりが見えません。子供の教育は、今やすべてが私の責任です。馬鹿げています。(40代女性・オーストラリア・10年以上)
 

■社会・日常生活(25件)
「3密」やソーシャルディスタンスの徹底、店舗営業の自粛など、感染防止策の不足を指摘する回答が目立ちました。
 

〔回答結果一部〕
・買い物に行くとき、距離を取らない人がいるので、本当に心配しています。マスクも買えません。(30代女性・ベトナム・3~5年)
・まだ多くの人がいまだに外に出て、集団で会っていることが気にかかります。(30代男性・スウェーデン・6~10年)
・なぜ日本人は、いまだに外で集まったり、レストランで外食したり、一斉に通勤したりしているのでしょうか?このままではウイルス感染を抑止するまでに、かなり時間がかかると思います。(20代女性・セルビア・3~5年)
・特にスーパーに行くと思いますが、2メートルの距離を取るというルールをみんな真剣にとらえていません。なぜ店が入店人数を制限しないのでしょうか?(20代女性・イギリス・1~2年)
・居酒屋、バー、レストラン、混雑した場所などに、まだ足を運ぶ人がいるのが残念です。(40代男性・ドイツ・6~10年)
 

■在留資格・差別(9件)
仕事を失った場合の在留ビザの扱い、差別への恐れなど、在住外国人ならではの心配・不安を挙げる回答がありました。
 

〔回答結果一部〕
・仕事を失ったら、在留ビザも失効してしまうのでしょうか。(30代女性・オーストラリア・10年以上)
・英語を話せない医師や看護師とコミュニケーションを取ろうと頑張っても、真剣に対応してもらえないです。(20代女性・イギリス・3~5年)
・外国人だからという理由で差別されたり、日本の病院で検査が受けられないことを心配しています。(40代男性・ブラジル・3~5年)
 

■その他(14件)
感染への不安や、将来の心配などの回答が目立ちました。
 

〔回答結果一部〕
・来年の大学受験がどうなるのか心配です。(10代女性・ネパール・3~5年)
・どれくらいこれが続くのか。そして仕事や生活にどれくらいの影響があるのか。(20代男性・アメリカ・3~5年)
・スーパーで買うものから、ウイルス感染しないか心配しています。人の息がかかったり、値段を確認するために手に取ることもありますし、レジの人が触ったりもします。買ったものはすべてきれいにするようにしていますが、とても疲れますし、このやり方で本当にいいのかもわかりません。(30代女性・アルゼンチン・1年未満)
 

■回答者属性■
○性別:女性 66.8%(163名)/ 男性 32.0%(78名)/ 未回答 1.2%(3名)
 

○年代

 

○在住年数

 

○国籍

 

■ひらがなネット株式会社■
○代表取締役:戸嶋 浩子    ○設立:2012年4月11日
○所在地:東京都墨田区亀沢2-19-7
○ウェブサイト:http://www.hiragana-net.com/
○本件についてのお問い合わせ先:戸嶋・吉澤・清水(mail@hiragana-net.com)
 

■ニュースリリース資料(PDF)■
2020.05.11 【リリース】新型コロナウイルスアンケート調査 第2弾
 

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